ブラック・スワンと英国王のスピーチ

「ブラック・スワン」

ブラック・スワンはロードショー公開時にかなり気になったものの、期待外れに終わったらさぞがっかりしそうに思えて結局観ずに終わった作品でした。
今日、DVDで観たのですが、私的にはこの選択で良かったと思いました。

バレエダンサーの二ナは大手の劇場で昔ながらの名作を新しい解釈でアレンジした「白鳥の湖」の主役に抜擢される。しかしまるで純真な魂を持つ白鳥そのもののようなニナは、同時に官能的で邪悪な黒鳥も演じなければならない。
黒鳥の演技へのプレッシャーの他に、彼女を妊娠したためにバレエ・ダンサーを続けていく夢を捨てた母の盲愛とバレエへの歪んだ執念、ニナに主役を取られて錯乱していく元プリマのべス、さらに主役の座を狙うリリー、監督トマスなどの存在が張りつめている彼女の繊細な精神を乱し、ニナはついに幻覚を見るようになり、現実とも幻想ともつかぬ世界の中で初日を迎えるのだった‥。

見始めるまでは一応スリラーとかサスペンスのジャンルの映画なので、大抜擢されたものの黒鳥になりきって踊ることへのプレッシャーが核心で、ニナ自身が自分で自分を追い詰めていく行き詰るようなサスペンスを予想していました。
が、黒鳥としての自分を開花させる手段が予想外で、しかも最初の頃の魅力に欠けた踊りと、初日で演じた完璧な黒鳥の踊りとの違いがあまり分からず、衣装と目つきが変わったこと以外はさして変化を感じられなかったのが、私の中でのこの映画の印象を平坦にしてしまいました。

さらに自分の内面から精神が崩壊していくならもっと鬼気迫るものが感じられたと思うのですが、リリーとの何処までが現実か分からない絡みは、ニナがリリーの行動力にただ巻き込まれてしまうだけのようで、同じサスペンスでもなんだか行き詰る代わりに映画の銀幕の世界から自分が少し現実に戻ってしまうような気がしました。

また、母の執着を振り切ってニナがリリーと飲みに行ったときのシーンは、黒鳥を演じることよりも、娘の精神をがんじがらめにして育ててきた母親からの少し歪んだ自立を描いている印象が強く、ストーリーの流れを曖昧に薄めてしまったようにも感じられました。
とはいえ、役へのプレッシャーが悲劇を生む大前提として、この歪んだ親子関係が重要なのも事実で、その部分が自然にマッチせずに浮いて感じられてしまう脚本・演出が今ひとつなのかもしれません。
だいたい、おおよそ健全な親子関係、母親が強すぎない家庭で育った観客に、ニナの本当の自分が出せない臆病さ、心の弱さ、深い闇、ストレス性のかゆみの緊迫感が果たして1本の線のように繋がってピンと来るものなのでしょうか‥?それともアメリカではこのような母親がそこそこ存在するのでしょうか(笑)

また、女垂らしですぐにダンサーに手を出すと評判の監督・トマスがニナに対してはあくまで彼女の才能を引き出すために必要なことまでしかしない理由が明確に表現されていないので、トマスのキャラクター像がいささか不明瞭なままです。もしかするとトマスは、自分を利用してのし上がろうとするダンサーに対しては利用し返すものの、自分の力でがんばっている女性に対しては協力を惜しまないいい男なのかもしれませんが、その辺りが納得できるようなエピソードが無いので、「トマスはどうしてニナに手を出さないのか」という淡い疑問が残ったままのような感じになってしまいます。

そんなこんなで散々主題から分散して印象が弱くなったところにラストの山場がきても、胸に迫るようなものは何も無いわけで。

ただ、これは起伏の激しいストーリーを好む私の個人的な感想であり、ハートフルな映画が基本的に好きな人や、何気ないことの中に感動的な要素を含んでいるような映画が好きな人とは、ずいぶん印象が異なることと思います。本当に、あくまで私個人の感想です。


全員共通であろう感想としては、ニナを演じたナタリー・ポートマンがオードリー・ヘップバーンに似ているということぐらいでしょう。



「英国王のスピーチ」

吃音のヨーク公が市井の人であるオーストラリア人の言語聴覚士ローグの治療を受けながら英国王ジョージ6世として即位し、やがて勃発した第2次世界大戦に際し、9分間の国民へのスピーチを見事に語り遂げる。

実はまったく興味の無い分野の映画だったのですが、とにかく観ました(笑)
しかし感想は「観て良かった」。

実話が基になっているので最後はジョージ6世が長いスピーチに成功することが既に分かっているわけです。言語聴覚士ローグとのやり取りもまあ想像がつく範囲を超えることなく進んで行きましたが、この映画の良さはそんなことではありません。
全編を通して息づいているジョージ6世の妻・エリザベス妃の夫への尊敬と心からの愛、そして夫を陰ながら支え、見守るその温かさです。

そこまでがすべて実話通りなのかどうかは知りません。ただ、映画の中とはいえ、あまりにも自然に素直に、「結婚して何年も経っているけれど、今も夫を心から愛し、尊敬している妻」が違和感なく描かれていて、彼女のその姿の方に感動さえ覚えてしまうハートウォーミングで素敵な映画でした。

SF・ファンタジー・ホラー・アクションが大好きな私ですが、それらの要素が一切無いこの映画を、とても好きになってしまいました(^^;


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初めまして。
逃げ水と申します。
アピストブログをサーフィンしていたらたどり着きました。
そのDVDの組み合わせ…
TSUTAYAかな?
どちらも気になっていますがまだ見てないです。

アピストの稚魚人工飼育凄いですね。
無事に元気に育っていってくれるといいですね。
カメレオンの飼育まで。
飼育難しそう。
カメレオンのイメージって黄緑色とか茶色ってイメージだったんですが、こんなエメラルドグリーンっぽい固体もいるんですね。
綺麗です。
淡い色づかいの絵のタッチもいいですね。



Re: タイトルなし

逃げ水さん、はじめまして!

「ブラック・スワン」は期待しないようにして
観れば、また違う印象になるかもしれません。

「英国王のスピーチ」は危なげ無い展開ですが、
ほのぼのして後味の良い作品です。
悪人が出てこない映画というのもいいものですね。

アピストはきっと、今のところビギナーズラック
かと(^^ゞ
みんな元気に育っていってほしいのですが、
そうなると置き場所がちょっぴり心配です。
まだまだ先のことなので、あまり考えすぎなくて
いいのかもしれませんけれど。

カメレオンは種類によって大きさ・色・姿など
意外とバラエティに富んでおり、メインカラーが
赤やブルーの種類もいます。
カイムは黄緑色になったり青緑になったりします。
警戒しているときや怒っているときは黒い縞や
点も現れるんですよ~。

飼育難易度も種類によってかなり異なりますが、
そうですね~、パーソンカメレオンは初めて
熱帯魚を飼い始めて直面する水質管理の壁みたいに
難しいです(^^;

イラストはお恥ずかしい限りではありますが、
これからも挑戦してみたいと思っています。

ぜひまた気軽に遊びに来ていただけると嬉しいです(^^)

稚魚増え始めると止まらないですからね。
カメレオンも色々な種類がいるんですね。
ブルーのカメレオンとか生で見てみたいです。
怒ったときに黒い縞とか点が出るのか…
おぉアピストみたいだ。
昔から恐竜が好きだったので、爬虫類は憧れます。
これからよろしくお願いします。

Re: タイトルなし

逃げ水さん、やっぱり増えだすと
どんどん増えるんですね~(^^;

私もパンサーカメレオンのアンバンジャという
種類(パンサーは産地名がつきます)のブルー系に
憧れてきましたが、実際に飼ったのはほとんど赤系でした。

カラフルなタイプのカメレオンはとても美しいですよ(^^)
そういえばパンサーカメレオンも雄同士なんかが出くわすと、
一層派手な色彩になって膨らむんですよ。アピストみたいですね。

カイムの黒い縞と点、そういえばちょうど機嫌の悪い写真があるので、
新しい記事にアップしておきますね。
カメラの絞りの具合で全体に明るめで薄めの色に写っていますが、
実際はかなり濃い黒色を出していました。

爬虫類飼育も楽しいですよ~♪
こちらこそぜひよろしくお願いします(^^)

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